2008年03月04日

[読了] アメリカン・スクール


文壇を惑乱し、陶酔させた異才。その出発点。
芥川賞受賞の表題作を含む初期短編集。 (帯)
アメリカン・スクールの見学に訪れた日本人英語教師たちの不条理で滑稽な体験を通して、終戦後の日米関係を鋭利に諷刺する、芥川賞受賞の表題作のほか、若き兵士の揺れ動く心情を鮮烈に抉り取った文壇デビュー作『小銃』や、ユーモアと不安が共存する執拗なドタバタ劇『汽車の中』など全八編を収録。一見無造作な文体から底知れぬ闇を感じさせる、特異な魅力を放つ鬼才の初期作品集。 (裏表紙)
今年復刻された短編集。収録作は以下のとおり。

:: 汽車の中
:: 燕京大学部隊
:: 小銃
:: 星
:: 微笑
:: アメリカン・スクール
:: 馬
:: 鬼

一部の収録作品は既読の「殉教・微笑」(講談社文芸文庫)、「小銃」(集英社文庫)といった短編集と重複している。「小銃」「アメリカン・スクール」は今回で3度目、「星」「微笑」は2度目の通読となる。芥川賞受賞作「アメリカン・スクール」の面白さが、少しだけわかりはじめてきたような気がする。

小説というのは過程を楽しむものとはよく言われることだが、小島信夫の小説は見事にそれにあてはまる。面白いのだ。再読しても単純に面白いのである。再読に耐えうる作品の「完成度」を問題にしているのではない。どういった尺度で彼の小説の「完成度」を語ればよいのか僕には皆目わからない。ただひとつ確実に言えることは、たとえ結末を知っていたとしても何度でも面白く読めてしまう不思議な魅力がどの作品にも横溢しているということである。そして結末らしい結末がないという作品の性格によって、彼の小説は陳腐化を逃れているという見方もできる。
posted by ノジマコブオ at 00:00| 読了