2007年08月15日

[読了] 文章読本(吉行淳之介・選)



「文學界」1956年8月号に掲載された小島信夫「わが精神の姿勢」を収録。自らの文体について以下のような言及があり、実に興味深い内容となっている。
私は、噛みつくような、訥々とした、脚の冷えていそうな、それからヘントウ腺の肥大していそうな、なげやりな文章をかく。
伊藤整に見やぶられたが、私の文体には嘉村が潜んでいる。私は梶井の描写の正確さと象徴に若い頃夢中になったが、まったく自分の無能に絶望したものだ。
私は私の視覚と皮膚で書いてきた。
ヘントウ腺の肥大。私小説の極北である嘉村礒多の潜む文体。つまり、小島信夫のゴワゴワとした文体は「皮膚」で書かれているからこそ肉的であり、あの不気味な「ぬめり」が生まれているといえるのかもしれない。
posted by ノジマコブオ at 00:00| 読了