2007年07月17日

[読了] 小銃


軍隊生活の失意のどん底で、望郷の思いをたくした小銃とのめぐり会いをユーモアをまじえて描いた表題作。アメリカン・スクールを見学にでかける教員たちの集団に、戦後の戯画化された人間像を映し、植民地化された日本への風刺をきかせた芥川賞受賞作「アメリカン・スクール」他、独自の文学領域を開拓した著者の初期短篇九篇を収録。 (裏表紙)
初期の代表的な短編を集めた短編集。収録作は以下のとおり。

:: 凧
:: 死ぬと云うことは偉大なことなので
:: 小銃
:: 雨の山
:: 吃音学院
:: 殉教
:: アメリカン・スクール
:: 愛の完結
:: 黒い炎

七夕の夜。吉祥寺の古書店で集英社文庫版「小銃」を発見。あまりの嬉しさから会計時に店主にお礼を言う。「気付いていただいて嬉しいです。小島信夫、面白いですよね」と店主。

講談社文芸文庫から刊行中の短編集「殉教・微笑」と収録作品は半分以上かぶるのだが、この集英社文庫版「小銃」の最大の収穫は、なんといっても傑作短編「凧」が読めることに尽きる。オリジナル版の「凧」は小島信夫の膨大な著作の中で最も入手が難しい一冊として知られており、ごく稀に古書店に出回ったとしても、平均相場はおそらく10万円は下らないという逸品。とても手が届くような値段ではないので、気軽に文庫で読めるのは本当に嬉しい。帰宅後、吸い込まれるように「凧」を読み終えてしまった。縦横無尽に展開する小島節。やはり彼の文章にはドラッギーな快感がある。これほど「面白い」小説を書いた人でありながら、絶版で読めない作品が多過ぎる。あまりに残念なことだ。
posted by ノジマコブオ at 00:00| 読了