2007年04月13日

[読了] 一寸さきは闇

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いつも他者の似絵として振る舞い、しかもそうすることによってしか実在感を確かめ得なくなった一組の夫婦と夫の愛人。これら三人の奇妙な共存と、猥雑な愛のくらし。著者第二の小説風戯曲と関連エッセイ「あの戯曲といたあいだ」及び、「金曜日の夜十時」を併録。 (帯)
わずか1日で読了。正直あまり物語にのめり込むことができなかった。小島信夫は小説の「地」の文が圧倒的にユニークであり、また小説という形式でしかすくえない表現を徹底的に追求した作家である。それゆえ、ほとんど会話のみでストーリーが進行していく戯曲というフォーマットにおいて、小島の筆はやや硬化しているように思えてならない。作者の思うままに主人公を動かすことのできる「小説」の世界とは違い、「戯曲」ではそこに演じる人が実在するわけで、“舞台上で実現可能なものでなければならない”という基本的制限がある。本人も巻末のエッセイで触れているが、そのルール下でどれだけ小島信夫の世界を展開できるのかという、ある種トライアル的な面もあったのだと思う。
posted by ノジマコブオ at 00:00| 読了